それでは、ここからは、“強い人仮面”ができあがったプロセスとその影響について見ていきたと思います。
裕美さんの“強い人仮面”は、高校生になってから、できあがったわけではありませんでした。仮面の多くは幼少の頃にできあがっていくものです。
裕美さんには弟がいました。そして、いつもお姉さんらしい振る舞いを求められていました。
裕美さんは、そのような要求にいつも応えてきたのです。
また、お母さんは仕事をしていて、いつも仕事と家事で忙しいそうでした。
大変なお母さんの負担になってはいけない。
裕美さんは、我儘は決して言わいない、聞き分のいい子で、弟の面倒もよくみる強いお姉さんでした。
勉強もできる優等生で、そんな強い自分でいるという自己イメージがありました。
だから、辛いことがあったり、泣きたいことがあったり、お母さんに怒られたりしても、ぐっと我慢して従ってきたのです。
“お母さんに迷惑かけてはいけない”
“強くなくていけない”
“甘えてはいけない”
といったコアビリーフをもったインナーチャイルドができあがり、強い人仮面をかぶっていくことになります。
でも、強い人仮面も高校生で限界が来てしまい、摂食障害が発症していってしまうことになってしまうのです。
それは、その内面に弱さを抱えているが故のものです。強い人仮面と同様に内面も強ければいいのですが、裕美さんは内面に弱さを抱え持っていたのです。
その内面と強い人仮面とのギャップが裕美さを苦しめることになってしまうのです。