摂食障害の克服はご家族の協力が大切です。
ご家族の理解と愛情、そして諦めない強い気持ちを!
摂食障害の患者様を抱えるご家族の皆さまへ
摂食障害の患者様を抱えるご家族の皆さまへ
摂食障害への取り組みはご家族で
まずは、摂食障害の患者様を抱えていらっしゃるご家族の皆さまへ、ご苦労なさっていらっしゃるご心中をお察し申し上げます。
摂食障害はなかなか理解し難くまた治療も困難を極める一面もございますので、気持ちも沈みがちになったり、何かとご苦労が絶えないことかと思います。
ただ、摂食障害は、病気について充分ご理解いただき、しっかりと取り組んでいけば必ず治っていく病気ですので、諦めずに前向きに取り組んでいただければ幸いです。
そこで、摂食障害の克服に向けての取り組みとして、何がいちばん大切かと申しますと、次項にある、まずはご家族が、“摂食障害という病気を理解する”そして、“ご本人の気持ちを理解する”というところです。その上でのご家族の適切なご対応が望まれるところとなります。
摂食障害を理解する
まずはご家族の摂食障害という病気への理解がとても大切です。
摂食障害とは、どのような病気なのでしょうか
摂食障害は、極端な食事制限や、過度な量の食事の摂取、嘔吐などによる排出によって、 健康に様々な問題が引き起こされるもので、拒食症と過食症を総称したものです。
人間関係の問題による心理的なストレスや不適応、コミュ ニケーションの不全などが原因とされていると考えられています。さらには、過去の心の傷や自分自身の捉え方や考え方も大きく影響しています。
過食症は、ほとんどが女性に起きる病気です。その過食症の背景には、女性はやせているほうが美しいという社会的な価値観が根強くあります。
過食症という病名から、一般的には「食べたい病気」だと思われていますが、実は「痩せたい病気」なのです。痩せようとするダイエットの反動として過食が起こっているのです。
また、「ダイエットの反動としての過食」とは別に、「ストレス解消としての過食」もあります。これは、普通の人のストレス解消のためにする「やけ食い」と同じ種類のもので、「無茶食い過食」と呼ばれています。
一方、拒食症は、「過食を伴う拒食症」と「過食を伴わない拒食症」の2つに分けて考えられます。「過食を伴う拒食症」は一般に治るのに時間を要します。過食と拒食が入り混じった複雑な状況にあることがひとつの要因になっています。
「過食を伴わない拒食症」の人には、「過食を伴う拒食症」の人とは違った「痩せたい気持ち」があります。「過食を伴う拒食症」の人は「痩せることは、美しくなること」に直接的に結びついているのですが、「過食を伴わない拒食症」の人は、痩せてきれいになりたいという願望よりも、「太るのが怖い」という「恐怖」に支配されています。
決して“わがまま病”ではありません。
摂食障害は、けっして行き過ぎたダイエットや「わがまま病」ではありません。
病気なのです。
それは、心のバランスの崩れによって生じてくる典型的な「心の病」なのです。
病気なのだから、専門的に治さなければいけないのです。
異常な食行動は、
それは、風邪をひいたときの咳や熱と同じものなのです。
だから、自分の意思ではコントロールできないのです。
だから、
ご本人は、ダメ人間ではないのです。
そのような病気になってしまうご本人は、
だから、早く本来の自分を取り戻すことができるように、ご家族はサポートしてあげてください。
摂食障害のご本人の気持ちを大切に
ご本人はとても苦しんでいるのです。その苦しみをまず理解してあげてください。
例えば、
“食べ物を無駄にしている”
“止めることができない”
“普通の健康体に戻りたいのにできない”
“異常なほどに低体重にこだわってしまう”
“自分で決めたルールは絶対に破れない”
“頭で理解していることと、実際にやっていることが全然違う”
“理性で自分をコントロールできないダメな自分”
といったような気持ちを多くの人は抱えています。
自分ではいけないと思って食行動を無理矢理コントロールしようとして、それができずに苦しんでいるのです。
でも、無理に食行動を自分でコントロールしようとすればするほど悪循環の深みにはまっていってしまいます。
“思うようにいかない!”
“ダメな自分”
“情けない”
“自己嫌悪”
“罪悪感”
そう思えば思うほど心のバランスは崩れていって摂食障害はますます悪くなっていきます。負のスパイラルへとはまり、かえって摂食障害は悪い方悪い方へといってしまうのです。
だからご家族はこのようなご本人の気持ちを充分理解して接してあげてください。
決して責めないでください。まずはご本人の気持ちを優しく受け取ってあげてください。
ご家族の接し方
ご家族のご本人への接し方のポイントは以下になります。
安心できるような環境を整えてあげてください
- 同居している家族全員が病気のことを理解してください。
- まずは休ませて、ゆっくり治すことを認めてあげてください
- 頭でわかっていてもできないことを認めてあげてください
- 食事と体重には口をださないでください
- 体形のことには決して触れないでください
話を聴いて。ちゃんと気持ちを受け止めてあげてください
- 途中で遮らずに、うんうんとうなずいて聞いてあげてください
- オウム返しをしてちゃんと聞いていることを伝えてあげてください
- 本人の気持ちを察してあげてください
できていることに注目して認めてあげてください
- 物事のよい面、出来ている面に気づいて認めてあげてください
- どんな小さなことでもできたことを褒めてあげてください
コーチ役になってください
- ちゃんとぶれずにゴールを目指す強い意思と深い愛情を!
ご家族のカウンセリングも重要です
摂食障害を克服していく上で、ご家族とご本人との接し方、または家族全体の関係性や在り様というのものがとても大切になってきます。ご本人がカウンセリングを受けられない場合、あるいはご本人と並行してのご家族のカウンセリングというものがとても効果的に影響してくるものです。もし可能であれば、ご家族のカウンセリングも強くお薦めいたします。
また、ご家族の方ご自身のメンタル面における不安定さがお子様の心の不安定さに結びついてしまっているケースが多々ございます。ご家族の方でメンタル面における不安がございますようであれば、そのご家族の方がカウンセリングによるメンタルケアにお取り組みいただくことが、お子様の摂食障害の治療にとても効果的に働いていくことになります。