メンタルオフィスSINBIでは、摂食障害のカウンセリングに対人関係療法を中心に据えて取り組んでいます。
対人関係療法は、摂食障害を克服していく上で重要な焦点となってくる影響力の強い、いわゆる重要な他者と言われる人とのコミュニケーションとそこにある気持ちの関係に取り組んでいくものであり、とても大きな成果に結びついていくものです。
対人関係療法は科学的にその成果については検証されており、とても信頼性の高い療法であると言えるでしょう。
メンタルオフィスSINBIでは、摂食障害のカウンセリングに対人関係療法を中心に据えて取り組んでいます。
対人関係療法は、摂食障害を克服していく上で重要な焦点となってくる影響力の強い、いわゆる重要な他者と言われる人とのコミュニケーションとそこにある気持ちの関係に取り組んでいくものであり、とても大きな成果に結びついていくものです。
対人関係療法は科学的にその成果については検証されており、とても信頼性の高い療法であると言えるでしょう。
世界の数ある精神療法の中で、過食症に対して効果があると科学的に検証されているのは、いまのところ、認知行動療法と対人関係療法だけです。
認知行動療法と対人関係療法は、長期的な効果が示されてきた強力な治療方法です。抗うつ薬を中心とした薬物療法は、一時的な効果しかないことがわかっています。
認知行動療法は、食行動をある程度コントロールしながら自分のものの見方の歪みを修正していく療法です。一方、対人関係療法は、「重要な他者」と自分との現在の関係に焦点をあてていく治療法です。対人関係療法は、一般への普及よりも効果の検証を優先させたいという歴史的な経緯もあり、一般的には認知行動療法よりも出遅れていますが、これからの治療方法として注目されているものです。
対人関係療法(IPT: Interpersonal Psychotherapy)は、現在の対人関係に焦点をあてた短期精神療法です。本来はうつ病患者の治療用に、米国の精神科医クラーマン博士らが1960年代後半から開発したものです。クラーマンらは、精神療法も薬と同じように効果をきちんと検証してから普及させるべきだというふうに考えていたため、対人関係療法は、臨床研究を通して発展し、効果ついてのデータは他に類を見ないほど充実しています。
対人関係療法の歴史は、1969年にエール大学で始まりました。1969年というのは、エール大学のクラークマンのところにロンドンからユージン・バイケルが加わって、外来うつ病患者に対する維持治療の研究を始めた時です。1969年当時は、うつ病の治療として、抗うつ薬の治療で終結期にうつ病の再燃があると明らかになっていました。そこで、クラークマンは、うつ病の維持治療として、抗うつ薬単独の方法と精神療法を併用した場合の効果を比較する研究を始めました。現在では、精神療法と薬物療法は併用することによって最大の効果を示すということはあたりまえのようになっていますが当時はまだそのような理解はされていない時代でした。
対人関係療法は、このような時代に、薬物療法と精神療法の併用することによる効果を研究するという計画から開発が始まったという生い立ちを持つ療法なのです。
そして、対人関係療法は、新しい精神療法を作り出すことを目標として作られたものではありません。「実際によく効く治療」を明確に「体系立てる」ことを目標として作られました。つまり、「病気の原因は対人関係にある」というような仮説に基づいて治療法が作り出されたのではなく、それまでの調査研究からうつ病に関して得られたデータを元に、病気になる直前にその人の生活に起こっていることは何か、病気になったことでその人の生活上変化したことは何か、どのような治療法が実際にうつ病を最も効果的に治しているのか、を整理しようとして作られたものなのです。
対人関係療法で特徴的で大切な視点となっているのが、この重要な他者への焦点化です。
一般に精神療法においては、焦点を絞り込めば絞り込むほど短期に効果が上がってきます。「対人関係に焦点を当てる」といっても、「対人関係なら何でも」というふうに焦点を拡散してしまうと、幼い頃の対人関係や、いろいろな友人との対人関係など、次から次へと話題が出てきてしまい、長期にわたってしまいます。一方、対人関係の中でもテーマを絞り込めば、短期で効果を得てカウンセリングを終了させることができます。
対人関係療法は、「重要な他者」との「現在の」関係に焦点を当ててカウンセリングしていくものです。また、単に焦点を当てるのではなく、そこで問題になっていることを四つのテーマのうちの一つに分類し、それぞれの戦略に従ってカウンセリングをしていく、というふうにある程度マニュアル化されています。療法がきちんと定義されているので、効果のデータも正確にとることができ、有効性が検証されています。精神療法の中でも、有効性を証明するデータがもっとも多い療法であるといえます。
対人関係療法の戦略の特徴としては、医学モデル、4つの問題領域、期間限定治療といった3つの側面が挙げられます。
医学モデルというのは、患者は病気であり、病気は治すことができるという考えです。病気であることが一つの社会的役割になるという考え方です。通常の社会的義務や責任が免除されて、治療に専念する義務が生まれるといったように考えます。このことが患者の罪悪感を減じて治るという希望を持たせることになります。
対人関係療法で焦点を当てる対人関係については、4つの問題領域「悲哀」「対人関係上の役割をめぐる不和」「役割の変化」「対人関係の欠如」のうちの1つうか2つを選んで取り組みます。
摂食障害でよく出会う問題領域は、「対人関係上の役割をめぐる不和」で、次に多いのが、「役割の変化」です。
摂食障害で多い「対人関係上の役割をめぐる不和」ですが、これは、相手に期待していることと、相手本人の希望との間にズレが生じてくることによって起きてくるものです。対人関係療法では、コミュニケーション分析などを施しながらこの期待のズレを埋めていくという事を行っていきます。
対人関係療法は、もともとはうつ病の治療法として開発されたものですが、そのあと、摂食障害(拒食症や過食症など)や外傷後ストレス障害(PTSD)など、さまざまな状態に対する治療法として手を加えられてきています。日本以外の国ではよく知られた治療法であり、とくに、開発国のアメリカでは、1995年の消費者ガイドで支持されたことによって一般にもその存在が大きく知られるようになり、アメリカ精神医学界のうつ病の治療ガイドラインでも、有効な治療法として位置づけられています。近年では、グループ療法のスタイルも開発され、電話面接のスタイル、予防法としての活用など、さまざまな可能性が試みられています。